信用できないPageRankの使い道~サイト診断するときの手がかりとして~

公開日:2008/10/20
執筆者:阿曽 鉄之輔

GoogleツールバーのPageRankについて、鈴木さん、渡辺さんが記事を書かれているので、関連して書いて見ます。こちらは、PageRankの使い道というお話です。

《参考》
STOP PageRank! ~ Google PageRankを信用してはいけない6つの理由 (鈴木 謙一さん)

「PageRankはどうすれば上げることができますか?」必要ありません (渡辺 隆広さん)

GoogleツールバーのPageRank上げってのは「目標」にはなりにくいですよね。鈴木さん引用の元記事の指摘どおり、反映が遅いし、評価もアバウトですから。SEOを意識して運営していれば勝手にある程度は上がってきますから、「指標」かなと思います。1年やってまったく上がらないというのであれば問題があります(ただしPageRank4くらいまでの話)。

トップページのGoogleツールバーのPageRankが高ければ、Googleの評価上は優秀なサイトということでもありますから、特定ワードでの検索結果上位表示はやりやすくはなることはあります。PageRank5だとやりやすいですし、それは、PageRank0よりずっといいですよね。ただ、だからといってPageRank5になることを目指すよりは先にやることがあると言いますか。

「目標」にはならないGoogleツールバーのPageRankですが、私たちのようにサイトのSEOの状況を診断する側からすると、GoogleツールバーでのPageRankは、サイトの状態を把握するための参考データとして役立ちます

というわけで、あまり信用できないGoogle PageRankですが、その使い道として、サイト診断するときの手がかりとして用いるケースについて書いてみます。

サイトの診断が持ち込まれるときというのは、過去の運営状況が分からないことが多いです。ところが、SEOというのは今までサイトをどうやって構築・運営してきたか?というのも重要なポイントなので、それを知るための手がかりとしてGoogleツールバーのPageRankは限定的ではありますが使えるのです。

PageRankから、詳細に何かが分かるわけではないですが、一般的なGoogle PageRankの数値の傾向を知っていると、なんとなく全体像はつかめます。そういう点では、ツールバーPageRankが不正確であっても、情報が古くても使えるという訳です。つまり、GoogleツールバーのPageRankは、Googleがそのサイトを大まかに評している数値で、過去何年か分の累積値(最新のものではない)と理解して利用するのです。

GoogleツールバーのPageRankは、多くの要素が絡んでいますが、単純化して次の4点の反映としてここでは見ています(正確ではありませんが、実用上、このように考えたほうが使いやすいためです)。

1.ページ数
2. リンク構造
3. 運用期間
4. 被リンクの質(と数)

私たちはPageRankを、その数値を見て、どの要素が大きく貢献してそうか、または、何がマイナス要因になっていそうかを推測するための手がかりとするのです。

おおまかに数値の意味で言えば、PageRank0~2は低く、PageRank4は中堅サイトの上限レベル、PageRank5以上は強いサイト、といったところだと思います。

具体的にPageRankの数値を見てサイトを診断するとすれば…

では、具体的にどうやってみていくかといいますと。

1. まずは、診断のため、あるURLが持ち込まれます。

2. 最初にドメイントップのGoogleツールバーPageRankを見ます。

PageRank 0と出ていたら、サイトを立ち上げて半年以内か、それとも、外からまったくリンクがないか、それともインデックス削除されているかを調べます。ドメインにアクセスしたページで機種振り分け転送とかしていたりすると、事実上のトップページのページランクが下がるというのもありますね。また、たまにですが、Googleからペナルティを受けているドメインの診断を持ち込まれるケースもあります。

PageRank1~2くらいだと、とりあえず運営2年未満ではないかと推測しますが、そこでドメインエイジを見てみます。3年以上運営しているとすると、ちょっと低い。すると、上がらない理由がありそうということで、コンテンツ量を見たり(ページ数が少ないのではないか?)、被リンク数と質(被リンクがほとんどなかったり、PageRankの高いサイトからのリンクがないのではないか?)を見てみます。そこから、ページ数が足りないとか、被リンクの質・量が不足とかいうことが考えられたりするわけです。リンク構造なんかも理由として考えられます。ページ数多いのに評価されないとか。複製ページが多いと見つかることもあります。もしかしてドメイン他所から買ったとか寝かしていたケースもあるので、インターネットアーカイブで履歴も見たりします。

PageRank3~4くらいだと、まあ、中堅サイトなので、運営期間や、コンテンツ量を見たり、被リンク数と質を見て見ます。このくらいだと特に手がかりになりにくいところです。これも、経験になりますが、運営期間が1~2年でも、うまくコンテンツを持っていたり、有力な被リンクを得ていたりすると、軽くPageRank4になっていたりなど、多くのサイトを比較してみていると分かることがあります。何がGoogleに評価されてPageRank4なのかを考えるわけです。

ツールバーのPageRankで5以上となると、高いほうになりますから、その高い理由を調べます。運営期間がある程度あり、上場企業等の信頼されているサイトからのリンクが必要だったり、コンテンツページ数がかなり必要だったり。上場企業で信頼されているサイトからのリンクが評価されて軽くPageRank5というのもあります。評価されているドメインを起点にいくつもドメインを時間をずらして立ち上げて、相互にリンクしてPageRank5というのもありますね、割合とギリギリですけど。コンテンツページ量で稼ぐケースもあります。ここらへんはいろいろとパターンがあります。検索ワードの上位とは少し違う観点ですが。

3. 下位ページのPageRankも見てみます

また、ドメイントップのページがPageRank4以上になると、下位ページのページランクも見る価値が出てきます。よくあるケースでは、製品情報のトップページなどを見てみると、結構PageRank0だったり。例えば、運営期間も5年以上、ページ数も100ページ以上なのに、製品情報のトップページでPageRank0ということは、サイトのリンク構造を疑います。ちゃんとカテゴリのトップとして作れば、ドメイントップのPageRankから1~2低いくらいにGoogleはレーティングしてくるはずです。もちろん、カテゴリトップのPageRankが0であろうと、インデクシングはされますし、検索で上位に来ない訳ではないですけど、リンクの構造は改善余地ありそうだなあとアタリをつけるわけです。

まとめ

というわけで、GoogleツールバーPageRankは、今日明日のサイト改善には役立たせにくいデータで、「目標値」としてはアバウトすぎる面があるんですが、サイトの診断を持ち込まれる側としては、そのサイトの過去が分からないので、過去のウェブマスターの努力がどのようにGoogleに評価されているか?を知るための「指標」としては、それなりに使えるデータと考えています。こんな感じで見てみてはいかがでしょうか?


スマートシステム株式会社
 阿曽 鉄之輔

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