SEO小説「五郎と怪傑ホワイトハット」 第1話
ある帽子販売サイトがありました。
そのサイトは、ショッピングカートを導入している老舗のネットショップで、サイトのオーナーは「五郎さん」という方でした。(SEO歴3年)
このお話は、五郎さんのサイトが、SEOに強いサイトに生まれ変わっていくお話です。
(※この物語はフィクションです。登場してくる人物・サービスは実在いたしません)
◆
2009年6月。
『ああ、今月も被リンクサービスの契約を更新しないとなあ・・・』
五郎さんは、あるSEO業者からのメールを読んで、ため息をもらしていました。
五郎さんのサイトは、そのSEO業者と「被リンク増サービス」の契約をしていました。
「被リンク増サービス」の契約をしてからというもの、確かに効果はあったようで、導入後2ヶ月程度で、五郎さんのサイトは1ページ目に表示されるようになりました。
しかし、最近、どうにも順位が思わしくないのです。
五郎さんのサイトはついに3ページ目へ後退してしまいました。
上位に表示されているサイトの顔ぶれも変わってきました。
今1位に表示されているのは、先月急に現れた「ホワイトハット山下」というサイトでした。
名前も聞いたことの無いサイトが、他のサイトを追い抜かし、1位になっていたのです。
『なんやこのサイト。被リンク、うちより全然少ないやんけ・・・。ホワイトハットなんてふざけた名前付けやがって・・・』
五郎さんはご機嫌斜めです。
それもそのはず、五郎さんは、あるSEO業者と月々数万円の被リンク増サービスを契約していたからです。
被リンク増サービスを契約してから1年経ちましたが、五郎さんのサイトは被リンク数が「30,000」近くになっていました。
かなりの被リンク数です。
その被リンク数のおかげか、五郎さんのサイトは「帽子」というキーワードで1位をとったこともありました。
しかし、ここ最近の検索エンジンのアルゴリズム更新で、「27位」になってしまっていました。
『もうリンク契約なんていらんわ!、解約する!!』
五郎さんは何度も決意しようとしました。
しかし、これまで被リンク増サービスばかり利用してきた五郎さんにとっては、他のSEO施策がまったく思い付きませんでした。
また、解約により、リンクが大幅減少する可能性があることが、五郎さんをより一層不安にさせていました。(※SEO業者によって解約時の対処は異なる)
『解約したら、もっと順位落ちるんちゃうか・・・。あー、もう、どうしたらええねん!!!』
◆
五郎さんの目の敵となっていたのが、1位になっていた「ホワイトハット山下」というサイトでした。
ドメイン年齢「7ヶ月」、被リンク数「900」というサイト。
『なんでこんなサイトが上位表示しとるんや!検索エンジンは壊れとるんとちゃうか!!』
五郎さんは机を叩き、叫びました。
机の上にあったサボテンが倒れ、五郎さんの右手にトゲが刺さりました。
『イテーっ!!』
「ふっふっふっふっふ・・・」
『・・・!、今笑ったの誰や!!!』
五郎さんが後ろを向くと、白いマントを羽織った謎の人物が立っていました。
『なんじゃお前はっ!?』
「ふっふっふ・・・。私は怪傑ホワイトハット」
『怪傑ホワイトハット!?』
「SEOのカオスに生き、古き時代からSEOを見守ってきた者だ」
『わけわからんやっちゃなあ・・・、そんな古い時代からSEOなんてあるかいな!!』
「ふっふっふ・・・。究極のSEOとは魅力あるコンテンツを作ること。魅力ある者が歴史を作る。その根本は太古から変わらない」
『よく分からんやっちゃなあ。なんやねん、お前は!?』
「SEOでお困りのようだから、お邪魔した」
『なんや、新手の営業かいな!!、うちは貧乏やから、もうこれ以上リンクサービスは契約できへんぞ!』
「リンクサービスなんて必要ない」
『は?、リンクサービス使わんと、どうやって上位表示させるっちゅうーんや!?変なこと言うてたら、本気で怒るで!!』
「私のサイトを見よ!」
そう言って、怪傑ホワイトハットは、検索結果に表示された一つのサイトを指さした。
五郎さんは驚きました。
そのサイトこそが「帽子」で1位表示されている「ホワイトハット山下」だったのです!
『お、お前が・・・ホワイトハット山下のオーナーか・・・』
「貴殿は、我がサイトの被リンク数やドメイン年齢しかチェックしていなかったために、真実が見えていないようだ。この数字を見よ!!」
『な、なんじゃ!、このソーシャルブックマークの数は!!?」
「これぞ、SEO最大奥義の一つ、コンテンツマジックだ!」
『こ、こんてんつまじっく!?』
「貴殿のサイトはただのショッピングサイトだ。デザインは普通だし、商品説明は単調で個性も無い。面白みが何も無い」
『な、なに言うてんねん!うちはなあ、リンクの数がすごいんや!』
「そのリンクはお金を払って買ったものが殆どだろう」
『う、ううっ・・・』
「それでは永遠に被リンクサービスにお金を払い続けることになるぞ。それでも良いのか!加世子はどうなる!?、加世子は新しいランドセルを欲しがっているぞ!」
『な、なぜ、うちの娘の名を・・・』
「加世子が夢の中で私を呼んだのだ。「新しいランドセルが欲しいなあ。でも、お父ちゃんお仕事大変そうだしなあ。お父ちゃんのホームページ、もっともっと、いっぱい人が見に来ないかなあ」ってな」
『か、加世子・・・、ランドセル一つ買ってやれないお父ちゃんを許してくれ・・・』
「泣くな!貴殿が毎月払い続けている被リンクサービスの代金があれば、ランドセルくらい、すぐに買ってやれるだろう」
『そうは言うても、うちはサイトからの売り上げが無いと生活できへんのや・・・。上位表示せーへんかったら、一家路頭に迷うしかあらへんねん・・・』
「・・・」
『被リンクサービス辞めたら、うちのサイトなんて、リンク残らへんのや・・・」
「よし。私が、被リンクサービスを辞めても問題ないようにしてやる」
『・・・・・・えええええ!!!?、ど、どうするんや!!?』
「現状の被リンクサービスはとりあえず継続しておけ。
まだ27位に表示されているということは、被リンクサービスを利用していてペナルティを受けたというより、その被リンクサービスのリンクに価値が無くなったから順位下落してきたと考える方が良いだろう。
そう考えると、その被リンクサービス以上に質の高いリンクを集めてゆけば、解約しても心配ないということだ」
『そ、そんな夢みたいなことができるんかいな・・・』
「貴殿の趣味はなんだ?」
『わ、わしの趣味は盆栽と写真や・・・』
「よし、十分だ」
『??』
「早速SEOチューニングを開始するぞ。私のチューニングは厳しいが、しっかりついて来い!」
『は・・・はあ』
「なんだその返事は!!気合い入れんかっ!この歌でも聴けっ!」
『な、なんだか勇気が湧いてきました・・・』
「そうだろ、ちなみにこの歌はリアレンジされて、2009年8月下旬にCD発売されるぞ。大切なのは心の最適化だ。私を信じてついてこい!」
『はいっ!!』
こうして、五郎(SEO歴3年)と怪傑ホワイトハットの長いSEOチューニングの旅が始まったのだった。
作画協力:WEBライダー3号