サイトの入り口ページをFlashページにするとSEO面で不利になる理由

公開日:2008/12/3
執筆者:阿曽 鉄之輔

スマートシステムの阿曽です。

サイトの入り口ページがあって、それがFlashムービーで、それを見終わると本当のトップページに行く、というサイトがあります。

最近は少なくなってきたようですけども、SEO面では不利な構造です。

同様な構造という点では、アダルトの認証ページを設けているケースもあります。

ここでちょっとその理由をまとめておきます。この理由を理解しておくと、サイト内リンクのスムーズな作り方が見えてきます(ある程度SEOをされている方はご存知と思います)。

これを理解しておくと、評価の上がりやすい効率の良いサイトが作れるのです。

サイトのトップページはSEO的には重要な意味があります

入り口ページをFlashページにして、その次に本当のトップページに行くという構造は図示するとこうなります。

http://www.sampledomain.jp/ → index.html(Flashページ) → index2.html (本当のトップページ)

検索エンジンはページ単位でも評価を行っていますが、ドメイン単位で、そのサイト全体を評価しています。この部分が大きくて、あるドメインに対する評価値(リンクジュース)というのがあって、これを外部サイトに分けてあげたり、内部にきれいに配分してあげたりすることで、効率の良いSEOが行えます。

この評価値のサイト内での受け渡しがスムーズにいかなくなるのが、こうした入り口ページのサイト構造なのです。

入り口ページのあるサイトでのドメインに対する評価値の流れ

ドメインに対する評価値というのは、まずどこに引き継がれるかというと、ドメインにアクセスして表示されるページに引き継がれます。

通常は、index.htmlが表示されますので、ドメインに対する評価値はindex.htmlに移ります。

ドメインに対する評価がindex.htmlに一旦全部乗りますので、index.htmlを上位表示させやすい理由のひとつです。また、他サイトのトップページからリンクされると有利なのもこのためです。

ドメイントップページは、index.phpでも良いですし、index.aspでも、何でも良いのです。ドメインにアクセスしたときに表示させる設定になっているページであれば、そのページがドメインのトップとして検索エンジンには認識されます。

ここで、トップページであるindex.htmlをフルフラッシュにすると、検索エンジンからは評価すべきコンテンツがほとんどない空ページに見えてしまい、評価値を受け取るときにSEO面では不利になります。テキストコンテンツがほとんどないページは評価されにくいのです。

次に、フラッシュが置いてあるindex.htmlから、index2.htmlページに遷移するのですが、たいていはテキストリンクではなくて、Flashによる読み込みや、Javascriptによる読み込みで遷移してしまいます。こうなると、index.htmlに移管された評価値がindex2.htmlにスムースに引き継げないことが多いのです。評価値の多くをそこでロスしてしまう感じです。

このとき、GoogleツールバーのPageRankを見ると分かりやすいのですが、index.htmlではPageRank4とかついていても(この場合はかなり被リンク獲得を頑張っている必要がありますが)、index2.htmlではPageRank0になっていたりします。評価値がうまく引き継げていないことが分かります。こういうときにGoogleツールバーは便利です。

さらに、こうした構造の場合、index.htmlはサイト内から戻りリンクを通常は受けないケースがほとんどです。Flashのページに戻る必要はないので当然なのですが、サイト内でトップへ戻るリンクはindex2.htmlを指し示していたりします。これでは、ドメインの評価を受けたindex.htmlは、サイト内からの被リンクを受けない宙ぶらりんのページとなってしまい、評価されにくいページとなってしまいます。

結論: 入り口ページがあると燃費が悪い

上記で見たように、入り口ページがあると、サイト内にコンテンツがある程度あっても、そのコンテンツが活かせないサイトとなってしまいます。

もちろん、入り口ページがあっても検索結果の上位に出ないわけではありませんが、私たちから見ると、サイトに評価されたパワーの使い方の効率の悪いサイト(燃費の悪いサイト)に思えます。そのため、入り口ページを置くことはオススメしないのです。

検索エンジンのクローラーの誘導上も、評価値のサイト内への分配上も、トップページからサイト内の各コンテンツへテキストリンクを3クリック以内程度で繋げてツリー状にすることが良いというお話に繋がってきます。

他方、サイトトップにフラッシュムービーを置きたいというニーズはあると思いますので、そういう場合は、全面ではなくてページの1/3くらいを使って置く代替案をお薦めします。そのフラッシュの周辺にHTMLで記述したメニューやコンテンツを配置することで両立が可能になります。(サイトにあるフラッシュムービーは一般的にはお客さんが喜んで見るか?というとそういうことはほとんどないわけですが…)

類例: ドメイントップにアクセスすると機種振り分けプログラムがある

似たケースとして、ドメイントップページに携帯とPCの機種振り分けcgiを置くことがあります。

携帯からとPCからを同じドメインのトップページにアクセスするようにしておいて、アクセスしてきたブラウザのUAを判別して、PCにはPC用ページにジャンプさせ、携帯にはそれぞれのキャリア向けページにジャンプさせるものです。

こちらもSEO面で考えると不利な措置です。機種振り分けのためのindex.cgiやindex.phpを一旦読み込ませて、そこからジャンプする関係で、その振り分けのためのページが先ほどの入り口ページの役割となって、サイトへの評価値が次にうまく引き継げないことが多いのです。

とはいえ、携帯とPCで振り分けのニーズは高いですので、この場合、cgiで振り分けるのではなくて、HTTPサーバのApacheに入っているモジュールのmod_rewriteを使って、UAの判別をして転送すると良いというお話になります。最近はこちらの方が多いですね。

この方法が良い理由は、cgiだとサーバ側で振り分けプログラムを起動するために一旦、何らかのページを読み込まなければいけない(index.phpなど)ためにSEO面では不利なのですが、mod_rewriteによる振り分けだと、ブラウザからサーバにアクセスがあった段階で振り分けができるので、判別用のページを経由する必要がないという点で良いのです。

ちなみに、検索エンジンのクローラーのUAだけを判別して、一般のPCユーザが見ているものとは似ても似つかないコンテンツを読み込ませて上位表示を狙うとクローキングになります。形式を変えたのみで本質的に同じコンテンツであればokなケースもあるので、そのあたりの判断基準は多少あいまいです。しかしながら、検索エンジンのクローラーのみ判別して対応させると、どのように検索エンジンから判断されるか分からないので、避けたほうが無難です。

《参考》 携帯とPCの転送に関してはこちらが参考になります。
応用的な SEO 施策(2)(フラクタリスト・モバイルSEO事業部 佐藤竜也さんの記事 japan.internet.com内)
http://japan.internet.com/allnet/20080916/8.html

この記事が良かったと思ったらSphinn Japanへ投稿/投票お願いします。

この記事へのコメント

コメントはまだありません »
Leave a comment