キーワード密度はSEOで考えるべきか? ~ SEOエキスパートに聞いてみた

公開日:2008/10/21
執筆者:鈴木 謙一

1ページの中にキーワードがどのくらいの割合で出現するのか、いわゆる「キーワード密度」は、いったい何%くらいが適切なのでしょうか。

2%?、5%?、7%?
20%を超えるとスパム判定?
そもそもキーワード密度なんて関係ない?

PageRank同様に、気にする人が少なくなったようではありますが、それでも意識するサイト管理者は多いのではないでしょうか。

海外のSEOエキスパートの見解

WebmasterWorldでも、つい最近キーワード密度(Keyword Density)の適切な数値はどうなのかというスレッドを見かけました。

フォーラム アドミニストレータ、tedsterは次のように回答しています。

KW Density sometimes makes a useful test for the webmaster, just to check whether the keywords were overlooked or repeated much too often. However I don’t think Google (or any modern search engine) uses keyword density as a metric – at least not directly. The algo’s calculations for relevance are much more sophisticated than that.

You can see pages at #1 with very low density and extremely high density. You can see pages rank at #1 for a phrase with only one of the words in the phrase on the page. As a metric, KWD comes from the last century’s approach to Information Retrieval. It’s an “ancient god” that should no longer be worshipped.


“キーワード密度は、キーワードが見過ごされていないかとか、あまりにも多く繰り返されていないかを調べるためだけだったら、役に立つ分析だ。でも僕は、Googleは(現代のどのサーチエンジンも)キーワード密度を指標として使っていないと考えている。少なくとも直接的には。関連性に対するアルゴリズムの計算は、そんなものよりももっとずっと洗練されている。

とても低いキーワード密度で1位のページもあれば、かなり高いキーワード密度で1位のページもある。ページに書かれているフレーズの中のたった1つのワードで、1位を獲得しているページもある。計測手段としてキーワード密度は、前世紀の情報取得の取り組み方法だ。もはや崇拝されることもない古代の神と言えよう。”

フォーラム モデレータのReceptional Andyは、「異常に高いキーワード密度は、害を与える可能性がある」というコメントに対して、次のように述べています。

Yes, but not directly. A density that was “too high” is likely to be present in a page that contains artificial (i.e. irrelevant) text. But even that doesn’t mean pages with seemingly ludicrous keyword densities can’t rank well, since it isn’t density that’s important.

Keyword density may give you an overview of certain aspects of the language used on a page, but it’s a crude measure and one that does not reflect the actual aspects that are algorithmically important.

It’s easy to test whether there is a correlation between keyword density and ranking. Just take a sample of well ranked pages and measure the keyword density. Do a bit of number crunching. You’ll likely find no statistically reliable correlation between ranking and keyword density.

“そのとおりだ、でも直接的ではない。濃すぎる密度になるのは、人工的な(言い換えれば、関連性のない)テキストを含むページだ。しかし、それとて一見するとばかげたキーワード密度のページでも、上位に表示できないということではない。なぜなら、重要なのはキーワード密度ではないからだ。

キーワード密度は、ページで使われている言葉のなんらかの局面の概要を与えてくれるかもしれないが、未熟な物差しであって、アルゴリズム的に重要な実面を反映してはいない。

キーワード密度とランキングに相関関係があるかどうか調べるのは簡単だ。上位表示されているページをいくつか選んで、キーワード密度を測ってみるといい。ガリガリとたくさんやってみな。ランキングとキーワード密度には、統計的に信頼できる相関関係がないことがはっきりするだろう。”

日本のエキスパートの見解

Sphinn Japanではスペシャルユーザーとして、国内を代表するSEOのプロを招いています。
このメリットをいかして、スペシャルユーザーのみなさんにも、キーワード密度がランキングに与える影響を尋ねてみました。

いただいた回答を、ほぼそのまま引用します。

●アイレップ 渡辺氏

「キーワード密度が重要だったのはGoogle登場以前の話。
現在のように複雑なアルゴリズムにおいては、ランキングに与える影響は無視できるほど。

もちろん、検索エンジンはページの解析においてそうした要素を見ることに変わりはないけれども、「検索エンジンが分析すること」と「SEOで重視すること」は別のお話です。

●スマートシステム 阿曽氏

キーワード密度は明快な回答がないのが実際だと思います。
特に難しい判断は、どのくらいキーワードが含まれていると問題があるかです。

経験的には、一行に同じキーワードが1~2回頻出するくらいのサイトも見てますし、特にペナルティや減点されている風でもありません。そのため、「入れてはダメか?」となると、「ダメということはないが、ページ内に数回程度に留めるのが無難です」というのが模範解答かと思います。無難という発想ですね。

ただ、順位が低いサイトにおいては、ターゲットキーワードはページ内に数個程度あれば十分と見ています。出来れば記述位置は、bodyタグの開始位置に近い側や、pタグの開始位置に近い側などは有利なのではないかと推測しています。

まだ立証は出来ませんが、キーワードスタッフィングの検出は、マークアップされたキーワードに関しては繰り返し頻度が高いと検出されるのではないかと感じています。

例えば、画像のaltやアンカーテキスト、strongやhxなどで同じフレーズをマークアップしているのは避けたほうが良いように思われます。これも大丈夫とそうでないところの境界線は不明確です。安全策としては顧客には避けることを勧めています。

キーワード密度は計算方法により変わりますが、日本語だと5%だと大目ではないかと思われますがいかがでしょう。議論余地はありそうです。

基本的にはokとそうでないラインが不明確なため、

  • 検索結果上位に上がっていればいじらない
  • マークアップされたキーワードの比率が多い場合は下げたほうが安全
  • 本文中には最低で数個含まれればok。場所はページ上部が有利

というような大まかな基準となりましょうか。
これも仮説に過ぎないのですが。

●フラクタリスト 佐藤氏

※佐藤氏はモバイルSEOが専門分野
モバイルの場合そもそものテキスト量が少ない場合が多いので、必然的に”密度”は高くなります。
そうしたケースでの密度はみていないと考えておりますが、一定度以上の文章量がある場合、密度はみていると考えております。
PCよりも高い割合かも知れませんが、過去の実績上15%程度が限界と考えております。(20%を超えるケースですと、落ちたものもあります)

●サイバーエージェント 木村氏

キーワード密度というのは、もはやあまり関係ないと思っています。
もしあるとしても、一律で同じということはないと思います。
そのキーワードの性質によって、たくさん使われることが自然なものもあれば、言いかえが多くなったり、ほとんど使われないものもあると思われるためです。

例えば、「マンション」だけなら、それなりにたくさん使われてもOK。
でも「東京 マンション」が多いのは不自然とか、キーワード、キーフレーズによって言葉の性格というのが違うと思われるためです。

個人的には、類義語や周辺キーワードというところも一緒に考えていくべき問題だと思っています。

キーワード密度というものよりは、キーワード出現位置のほうがランク変動に及ぼす影響という意味では大きいように感じております。

数年前のキーワード密度6.5%がベスト、いや、今は5.5%だ!
とかそんな時代が懐かしくもありますが・・・。

結局はユーザーのために書く

検索順位を上げようとしてキーワードを詰め込むことは、百害あって一利なしではないでしょうか。

優等生的なつまらない結論になるかもしれませんが、結局は、サーチエンジンのためではなくユーザーにとって読みやすい、意味の分かりやすい文章を書くことが、いちばんでしょう。

代名詞を使わない、主語・述語・修飾語などの係り受けを意識して単語を並べる、関連用語を使うなど、ライティングの技術に話題が及んでしまいそうですので、詳しいことはまた別の機会に取り上げます。

P.S.
Sphinn Japanではスペシャルユーザーをはじめ、日本を代表する実力派のSEOのプロフェッショナルたちとの繋がりがあります。
SEOに関することで疑問があれば、それぞれの見解を尋ねてみたいと思います。

「SEOのプロに聞いてみたい」という質問があれば、コメントに書き込んでください。
必ずの回答はお約束できませんが、数が多いものや面白いものは、プロにぶつけてみます。

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