シンプルに考える、モノやサービスの売り方

公開日:2009/11/25
執筆者:sugane

モノやサービスを売るときには『どのように売るか』という販売戦略が不可欠だ。

「販売戦略の構築」とか言ったりすると、複雑そうでどこから手を付けたらいいかわからない感じがしてしまう。

でも、実際はシンプルで(少なくともぼくの考え方は)、たった2つのことに着目するだけでいい。

1.お客のニーズに合わせた商品・サービスを紹介、開拓、開発。

これが一番オーソドックスで確実な方法論。お客の欲しいものを売る。

市場でお客が探している、でも売っていないものを探しだすことに集中する。「こんなのがあったらいいのに」という『声』にひたすら耳を傾ける。

そういうモノやサービスを見つけたら、次にそれを自分が売れないかどうか模索する。市場に無いというけど、本当に無いのか。ただ流通が不足しているだけで、自分がその流通を担うことは出来ないか。どこかから仕入れることは出来ないか。本当に無いなら自分でつくれないか。自分でつくれないとしたら誰か作ってくれる人はいないか。

上記全ての答えが「NO」であるならば、また別の『声』に耳を傾け、自分が販売者になれないか同じように考えて見ればイイ。ただそれだけのことだ。

先日、「エチカの鏡」というテレビ番組で紹介された不動産業で大成功した鈴木ゆり子さんも、お客の『声』に忠実に従っただけだと言う。この女性はもともとは普通の主婦であったが、あるとき中古のアパート物件を購入し大家になり大成功を収めた。実際にどんなことをしたかというと。。。

  • 敷金・礼金は基本タダ。
  • 学生向けアパートにはベット、机、タンス、冷蔵庫、テレビ、電子レンジなど一式完備
  • 部屋を紹介する前に徹底的に掃除する。

などなど、一見ごく当たり前のことばかりだ。しかし、実際に賃貸住宅を探してみるとこういう物件というのはとても少ない。お客の声は当たり前のように出てきているのに、まだそれに答えている販売者が少ないということだ。

SEOで言うと、お客の『声』は検索キーワードという形で現れる。専門的な用語や、ブランド名で売り込むのも場合によっては重要だが、お客がどんな言葉で検索するのかを知ることはもっと重要だ。

さて、『お客の声を聞く』という方法はこれから販売する商品を開拓する、これから事業計画を立てるといった場合には有効だ。しかし、既に商品が手元にあって、それを売っていかなければならない営業マン、マーケッターの場合には事情がすこし違ってくる。

そのような場合は、次のように考えると良い。

2.自社製品に対するニーズを、お客が持っていることに気付かせる。

まずは、自分の売っているモノやサービスを欲しがる人は誰なのかを考えてみる。

次に、どこえ行けばそういう人(潜在的顧客)に会えるのかを考える。

ここまではごく一般的なマーケットリサーチ。

最後に大事なのが、絞り込んだターゲットに対して「本当はあなたはうちの商品に対するニーズを持っているんだよ」ということを気付いてもらうこと。これが『営業トークの真髄』だとぼくは思ってる。お客自身が自分のニーズを必ずしもはっきりと把握しているとは限らないからだ。

例えば、SEOコンサルなら、「自分はバックリンクを買いたいだけだからあなたのとこのサービスはいらない」と言ってきたお客に対して、リンク売買の危険性を説いた上で、そのお客の本来の目的はなんなのか。上位表示をして、集客して、収益をあげることではないのか。それならばもっと別の方法でのリンクビルディングの可能性を説明し、さらにロングテール戦略や、販売ページの最適化なども含めて提案する。「本来のあなたの目的を達成するのに必要なのはそういうことではないのですか」と気付いてもらう。

これは自社の製品(サービス)を無理やり売り込むのとはまったく違う。

お客が欲しく無いモノを売り込むのではなく、本来は自社の製品を必要としているはずなのにそれにまだ気付いていないお客に対して売り込んでいるという点が重要だ。

多くの営業マンが陥りがちなのが、本来その商品を必要としていないお客に、必要だと思い込ませて売り込むというのがある。これを営業トークとか、営業力と思っているとあとで痛い目にあう。

一回限りの商売の個人宅販売営業や、消費財の小売などではまぁ通用するが、中長期的な関係を必要とする法人営業ではこの手の営業の仕方ではまず長続きしない。小売店だって、一回は売れても、リピーターは付かなくなる。

なぜなら、本来必要としていないお客に商品を売っているわけだから、そのときは必要と思ってしまったかも知れないが、直ぐに必要じゃなかったことに気付く。これを続けると、営業マンの評判が悪くなるだけでなく、販売会社、商品ブランドにもキズが付くので長期戦略としては成り立たない。

多くのSEOベンチャーコンサルが『偽りの営業力』に頼り、過剰な自社サービスの売り込みで名を落とすのもここの部分の販売戦略を見誤っているからではないだろうか。

その手のSEO業者は、すでに開発費をかけてしまったSEO関連のツールやソフトをなんとかして販売していかなければならないから、お客の声を聞いてばかりもいられない。そこで、客のニーズと本来の製品とのギャップを営業トークで埋める。これを「客のニーズにすり寄せる」なんて表現したりする。既に出来上がってしまっている商品を様々な客のニーズに合わせるために、それぞれのニーズに合うようにプレゼンする。「うちの製品はあなたのニーズに合ってますよ。まさに今、お客様が欲しいとおっしゃったことが出来るんです。」と、口八丁手八丁。平たく言えばウソを言っているに過ぎない。

商品に合ったニーズをお客がもっていることをプレゼンするのと、お客のニーズに合わせて商品をプレゼンすることはまったく違うということだ。

本来は、商品にお客のニーズを手繰り寄せてこないといけない。

既にある商品をお客のニーズにすり寄せてはウソになる。

まとめ

販売戦略をじっくりと考えなければならないのは当然だ。

でも、だからといって、難しく考える必要はまったく無い。

思考が複雑になってしまうと目的を見失い、答えを見失う。

上記2点を踏まえて、シンプルに考えるという姿勢が大切だと思う。

販売戦略とはお客の心を掴むこと。

シンプルであるほうが心を掴む。

この記事が良かったと思ったらSphinn Japanへ投稿/投票お願いします。

この記事へのコメント

コメントはまだありません »
Leave a comment